2-2.良いペダリングとは何か 後編 - スプリントやアタックでのペダリング、エアロポジションとペダリング効率の関係

2-2.良いペダリングとは何か 後編 - スプリントやアタックでのペダリング、エアロポジションとペダリング効率の関係

KINAN Cycling Teamに所属する畑中選手と山本選手をお招きして開催した、『トップ・プロ直伝ペダリング講座 Powered By KINAN Cycling Team』。

2つ目のテーマである「良いペダリングとは何か」の前編では、平坦な道や登り坂でのペダリングについてお話をうかがいました。

後編は、アタックやスプリント、独走状態でのペダリングについてです。テーマに関連してスプリントの練習法やエアロポジションについても教えてくれました。

『トップ・プロ直伝ペダリング講座 Powered By KINAN Cycling Team』とは

 

レース中のアタックやスプリントで意識すること

――もっとレースシーンにフォーカスした質問をさせてください。レース中にアタックを掛けるときや、レースの最終局面でよく見かけるスプリントのときって、何か意識をされていますか。

 

畑中選手

スプリントのときって、思いつき(反射的に、瞬時の判断)でポンポン動くので、練習でも敢えてその動きをやっています。練習するから身体がその動きを覚えて、レースでも最適な動きを反射的に再現することができます。

10秒の全力もがきは練習メニューとして普通ですが、皆さんにはぜひ「インナースプリントダッシュ」をやってもらいたいですね。どのようなメニューかと言うと、斜度3、4%程度の下り坂で軽いギア(インナーギア)にして行う、短時間のスプリントです。

1回5秒くらいでケイデンスは200rpm以上が目標です。「インナースプリントダッシュ」をやると、スプリントのときの身体の使い方を覚えることができますよ。

 

山本選手

僕はスプリンターというよりも、脚質はアタッカーです。平坦でも登り坂でも共通して、上半身は土台の役割です。テーマ1の「ペダリングにおける身体の使い方」でもお話ししましたね。

下半身で生まれる力を受け止めることができるように、腹筋、腕をガッチガチに固めて、上半身が動かないようにしてペダルを踏み込む。この動きを練習で身体に覚えさせます。

反射的にこのフォームにしたらこの動きをするっていうように、無意識のレベルで身体を動かせるようにします。ペダルを踏んだ時に生まれる反力を上半身で受け止めたら、次に反対の脚でペダルを踏み込むっていうイメージですかね。

 

脚質の特徴

・スプリンター
ダッシュや最高速度の速いライダー。レースだとゴール前の最後のスピード勝負に強い。
・アタッカー
登りや平坦などを含む、起伏のある地形が得意なライダー。レースでは、様々な局面でアタックをしかけ、新しい展開を生み出す。

そのほかに登りが得意な「クライマー」やTTなど平坦な道での巡航スピートに自信のある「ルーラー」、万能で苦手のない「オールラウンダー」などがあります。

 

――畑中選手にはスプリント、山本選手にはアタックに関するお話をうかがいました。そのシチュエーションで必要な動きを練習の段階で身体に覚え込ませるっていう点は共通していますね。レースで最高のパフォーマンスを発揮するためには、やはり練習あるのみなのですね。

 

独走状態のペダリングで意識していること

――もう一つ、レースシーンで意識していることについて教えてください。集団から抜け出して、独走状態のときって何を意識していますか。

 

畑中選手

独走のときは、ペダリング以外に他の要素が大きく絡んでくるから難しいですねぇ。ペダリングの綺麗さっていうのも確かに重要だけど、それとエアロを比較したら、僕の場合ですけどエアロを重視するかもしれないです。ライドポジションやコースの地形を気にして、ペダリングの優先順位はその次くらいに来るかな。

前提として、今まで説明した無駄のない、効率的なペダリングを実践していますけど。そこからさらに、独走用に特別ペダリングを変更しているっていうことはないです。ギアが少し重くなる程度かな。

 

ペダリング-ハンドル-ポジション-違い

基本となるエアロポジション。

空気抵抗を減らすためには、上半身と前腕部をできるだけ水平に保ちます。前からの風を受ける面積を少しでも少なくするためです。

速度が上がれば上がるほど、空気抵抗と必要なパワーは加速度的に上がります。このポジションに近づけると空気抵抗は減らせますが、パワーが出しにくくなります。

普段からエアロポジションでの練習もすることで、エアロポジション時のペダリング効率やパワーの低下を最小限に留めることができます。実際のレースでは、空気抵抗の削減とパワーの出しやすさの折り合いを状況に合わせて対応させます。

 

山本選手

独走している状態って個人TT(選手一ひとりが一定の時間差でバラバラにスタートして単独走によるタイムを競う競技)と基本的に一緒なので、速度にムラがないように、一定の速度をキープすることを意識します。

速度のムラはつまりパワーロス、効率の悪さに繋がるので。あと、重たいギアを結構使いますね。重いギアのほうが巡航速度は安定しやすいのでジワーって踏み込めます。

ケイデンスも若干落ちますね。ケイデンスが落ちると上死点と下死点を通過する回数が減るので、自ずとそこで必ず生じてしまうロスを抑えることができます。ケイデンスが上がるほど、パワーロスが大きくなりやすいです。

独走は人が回りにいる状況ではないので、自分の1番速いペースで走ることが最重要です。

 

――お二人とも、独走のときはギアを重めにするんですね、しっかりと踏み込むことがキーポイントみたいです。 重たいギアを選択して、巡航速度を一定にすること(速度のムラをなくすこと)を意識すれば、自ずとパワーロスの少ない良い走りができそうです。

 

「良いペダリングとは何か」まとめ

テーマ2では、「良いペダリングとは何か」ということについてお話を伺いました。良いペダリングを端的にまとめると、状況に応じてペダリングを使い分ける力と言えそうです。引き出しの多さとも言えますね。

ロードレースでは、刻々と変わるシチュエーションの中で、その状況に応じて最適な走り=ペダリングが要求されます。引き出しの数が多いほど柔軟に対応することができるので、レースを優位に進めることが可能になります。

良いペダリングとはつまり、引き出しの多さ。経験が物を言う部分も多分にありますが、テクニカルな部分は日頃のトレーニングで習得できそうです。

テーマ3では、「自転車のポジション調整について」という自転車のセッティングやポジションについてお話をうかがいました。