ペダリングにおける身体の使い方 後編 - 踵(足首)って固定するの?

ペダリングにおける身体の使い方 後編 - 踵(足首)って固定するの?

KINAN Cycling Teamに所属する畑中選手と山本選手をお招きして開催した、『トップ・プロ直伝ペダリング講座 Powered By KINAN Cycling Team』。

1つ目のテーマである「ペダリングにおける身体の使い方」の前編では、上半身の使い方や下半身との連動についてお話をうかがいました。

今回の後編は、一度は気になるであろう、ペダリング時の踵(足首)の固定についてと疲労時のペダリングのコツなどについてお聞きしました。

ペダリングでは踵(足首)を固定するってホント?

――少し横道に逸れてしまいますが、巷の噂で「ペダリングのときに踵(足首)を固定すべきだ」っていう話を聞くんですが、それってどうなんでしょう? 踵は動かないように意識したほうが良いですか?

 

山本選手

山本選手

ペダリング動作では、踵の上下動が必ず起きます。ふくらはぎに力を入れて無理に固定すると、脚全体の自由度がなくなってしまいます。さらにふくらはぎに疲労も溜まりやすい。ペダリングの出力のメインは、先ほどもお話ししたように、お尻とももの裏の筋肉です。ふくらはぎも連動させるように使うので、僕は踵が上下動します。

例えばペダルを踏むときに、必要以上に踵が下がる(足首が背屈した状態)、ペダルが上死点に来て、それより上に行かないのに、踵を上げる(足首が底屈した状態)動作は、力の無駄遣いなので勿体無いです。 綺麗にペダルを回せていれば、踵の多少の上下動は気にすることはないと思います。

 

畑中選手

踵は固定した方が良いという考えは違いますね。元喜(山本選手)が言ったように、ペダルを踏む時に踵が下がっているっていうような人は筋力不足やポジションの悪さが考えられますが、「踵を固定」っていうのは違うと思います。動いても良いです。

 

――踵(足首)の動きという、どちらかと言うとミクロな部分はそんなに気にしないでよさそうです。私のような一般サイクリストは、お尻ともも裏の筋肉を使って、2時の位置からペダルを踏むことに集中したほうがパフォーマンスが上がりそうです。

疲れたときでも効率よくペダリングしたい

――長い時間自転車に乗っていると、疲れてきてペダリングが何か悪くなってきた、効率落ちているなぁって感じることが多々あります。というか毎回そうなんです。

疲れてきても綺麗にペダリングをするためにはどうしたら良いですか?コツや意識していることってありますか?

 

畑中選手

畑中選手

トレーニングの一環で、ペダリングの効率やパワーを計測するマシンを使うのですが、効率の悪い動き、パワーロスに繋がる動きが分かります。レースのキツい時、脳裏にその時の動きが浮かんでくるんですよ。

動きを直そうっていう気づきがあると、やっぱりちょっとは変わりますよね。意識の問題になってくると思いますが、疲れてきた時ほど効率上げて何とかしたいと思いますよね。

個人的な話になってしまうのですが、僕は昔テニスをやっていたので右腕の方が長いです。右腕が長いので、シンメトリーにハンドルを握ると右肩が上がっちゃいます。

普段のサイクリングでは、右肩が上がらないようにしています。ですがレースの時、キツくなってくると自然と右肩が上がってくるんですね。それでバランスを取ろうとして勝手に頭が横に傾く。

自然とそういうフォームになっているのですが、考えてみると、パフォーマンスを維持するために、身体がキツい状況の中で1番力を発揮できる方法を知っているかもしれませんね。

 

山本選手

ペダリングの乱れって、それがケイデンスの乱れに、そしてホイールの回転のムラにつながりますよね。

それであれば逆説的に考えてみて、キツい時でも一定の速度でムラなくスーッとバイクを進ませることができていれば、ペダリングは乱れていなと考えることができると。なので、キツい時ほど、ムラのない一定の速度で走ることを意識します。

キツい時に綺麗にペダリングをしようと思っても難しいですよね、僕はできないので、速度を一定に保つ意識を持つようにしています。

 

――サイクリングで疲れてくる状況、レースシーンに置き換えると、キツい状況でパフォーマンスをいかにして維持するかっていうところになると思うのですが、そのアプローチは選手によって違うのかもしれませんね。

畑中選手のように、自分の身体にあった楽なポジションを感覚的に体得するのか、もしくは山本選手のように意識的に効率の良いペダリングをしようと模索をするのか。山本選手が意識している一定速度を保つというアプローチはすぐに試せますね。

 

「ペダリング時における身体の使い方」まとめ

テーマ1では「ペダリング時における身体の使い方」について、前編と後編の2回にわたって、畑中選手と山本選手にお話をうかがいました。

選手それぞれに独自の理論がありますが、自身の持つ体重や筋力を、いかに無駄なくペダルへ伝えて推進力に変換するのかが大切になります。

そのためには、お尻ともも裏にある筋肉を出力のメインにして、2時の位置からペダルを踏み始める。上半身はお腹に力を入れて固定し、パワーロスを極力減らすためのサポート役という意識が必要になります。

テーマ2では、「良いペダリングとは何か」というさらに一歩踏み込んだ、より実践的なお話しをうかがいたいと思います。